2016年2月5日金曜日

2016年株主総会のスケジュールの作成

早いもので、今年も既に2月が突入した。

2月といえば、株主総会担当者はそろそろ株主総会のスケジュールを作成しなければならない時期であり、これを作成すると、いよいよ株主総会準備が本格的にスタート、という感じがするものである。

さて、今年の株主総会で課題となることは大きく分けて次の2点。①改正会社法に対応した事業報告の記載②コーポレートガバナンス・コードを踏まえた招集通知の作成、この2つである。しかし、スケジュール日程を作成するに当たっては、特段影響を受けないので、昨年通りスケジュールを作成すれば問題ない。ただ、今年から招集通知のカラー化に踏み込んだりしていなくても、上記②のコーポレートガバナンス・コード対応には少なからず時間が必要になるのは間違いないので、招集通知作成には時間の余裕を見た方が良いだろう。

スケジュール作成で僕が毎年使っているのは、以下の2つだ。

・別冊商事法務「平成28年版 株主総会日程
・株懇の会合(分科会)で配布される決算事務日程表

まず、別冊商事法務「平成28年版株主総会日程」は定番中の定番。株主総会の開催日別にスケジュールを作成してくれているので、該当する日の日程を辿っていけば、適法で無難なスケジュールが完成する。実務上は会社によって取締役会等の日程は異なるため、モデルケースを直接当てはめることはできないが、一応これをベースに作成する日程が基本。本体価格は税別4400円と高い上に使う期間も超短期間だが、非常に使いやすいので、とりあえず購入して手許に置いておくことがお勧めだ。監修は国内最大の証券代行である三菱UFJ信託銀行。

このベースへの肉付に役に立つのが、株懇の会合(分科会)で配布される「決算事務日程表」だ。商事法務の「平成28年版株主総会日程」より詳しく書かれた部分もあるので、それらを追記していけばより完成度は高くなる。セミナーには参加して、解説も聞きいておくことをお勧めしたい。

もし、入社1年目程度の若手社員とか異動で初仕事という人に推薦したいのが、この日程表に記載されている「関係法令」を一度全てポケット六法等で引いてみることだ。相当手間がかかるが、どの条文が根拠になっているのか確認することで、かなり勉強になるし、会社法や上場規程の理解も進むと思う。



最後にオマケ情報を・・・。

・2016年6月総会の集中日は6月29日(水)
・会社法改正により会計監査人の選任議案には監査役会「決議」が必要となった(従来は「同意」)。会社法344条参照。
・ISSは議決権行使助言基準を改訂し、買収防衛策議案がある場合、招集通知が総会の「4週間以上前」に証券取引所のウェブサイトに掲載されていることを賛成条件の1つとした。
・株主総会のあり方検討分科会において、有価証券報告書の開示を早めて株主総会招集通知は計算書類等を省略して簡素化するという議論が行われている。
・配当金の除斥期間は3年~5年と定めている会社が多いが、期間満了後も払っている会社は相当数存在している。しかし、最近では除斥期間満了後も支払うことはコンプライアンス上問題有という見解の会社が増えてきた。
・株主総会議決権行使書は総会終了後、本店に3カ月間備置しなければならない(会社法311条)が、1年間備置している会社が多い。個人情報に当たるため、廃棄手続には要注意。
・2016年1月8日「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令」が公布されたが、実質的な影響はない。
・2015年10月15日、会社法改正に伴って日本監査役協会から改定版「監査報告のひな型」が公表された。内容は変わっていないが、形式は大きく変わっている。招集通知作成に関係する部分なので、監査役とはよく相談すべき。


<追記>
上記で紹介した別冊商事法務「平成28年版株主総会日程」において、1か所誤植を見つけました(笑)三菱UFJ信託銀行に喧嘩を売るようで怖いので、敢えてここでは書きませんが、もし気になる方はメール下さい。

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