2014年4月29日火曜日

株主総会の想定問答

招集通知と株主通信の初校提出も終え、ひと段落ついている株主総会担当者も多い時期ではないだろうか。
僕も現在ひと段落着いたことで、溜まっていた商事法務を読むことにした。
直近の№2031で取り上げられていた株主総会に関するテーマは「想定問答集」。今年ならではのトピックスが紹介されていた。気になったところをピックアップするとこんな感じだ。

・社外取締役の選任(トレンドは複数選任)
・社外役員の独立性基準
・多重代表訴訟
・女性の活用
・業績連動型役員報酬(ROE基準)
・企業集団の内部統制(海外子会社など)
・ベースアップ
・産業活力再生法対応
・消費税転嫁特別措置法、下請法
・反社問題(みずほ銀行)
・機密情報の社外流出

事務局としては、昨年の想定問答に上記テーマを追加した上で、会社個別のトピックスを加えていくことになると思われる。
想定問答集の悩ましいところは、事務局サイドの関心と株主の関心が必ずしも一致しないところにあるだろう。総会の場で質問されて、「ああ、そういうことに関心があるんだ」と思わされることは多々あった。また、想定問答が的中しなかったとき(結構ある)、議長+ボードメンバーの瞬発力が試されることとなる。

これまで、想定外の質問が起きても特に問題なく切り抜けてこれたが、最近話題の愉快犯みたいな、やたら会社法に詳しい株主が出現した場合、果たしてどうなるのか不安だ。

余談だが、新興市場に上場している某ベンチャー企業社長は、「経営者である私が会社のことに関して答えられない質問などない」と想定問答集の作成を拒否しているらしい。立派な心掛けだと思うが、事務局としては冷や冷やして仕方がないことだろう。


最後に、定番の想定問答集を紹介しておく。高いけれど、迷ったらこの1冊である。



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2014年4月19日土曜日

無料ゲームは考え方によってはお金がかかっている(らしい)

「無料のゲームも考え方によってはお金がかかっているんだよ」

先日、大学病院で医者をやりつつ株式投資で財をなした友人と飯を食っていた際、こんなことを言われたので、自戒の意味を込めてメモっておきたい。

彼と会話をするときは、大抵が株式投資の話になって、その日はスマホのゲームアプリ制作会社が熱いという話になった。新作のソフト(アプリ)がApp Storeの上位にランクインするかどうかだけで株価は影響を受ける。スマホゲームのトレンドは、まずは無料でダウンロードさせて、一定以上遊ぼうとした際や、強力なアイテム等を入手する際に課金が発生するシステムを取っているところがほとんど(広告が出るやつもあるけど稀)。だからダウンロード数が増えたからといって、それが多大な収益とは必ずしも結びつかないのだけれど、やはり「数をダウンロードされてなんぼ」の世界なので、ランキングが重要になってくるのだろう。

僕も、最近では暇つぶしでいくつか無料のゲームをダウンロードしていて、課金が発生しない範囲で遊んでいる(せこい)。その経験を踏まえて、「無料の範囲でも結構遊べるし暇つぶしになるよ」と言うと、友人は悲しそうな顔をしながらこう言ってきた。


「無料のゲームも考え方によってはお金がかかっているんだよ」

  え、なんで?

「おそらく、トータルすると1日に1時間くらいは遊んでいるだろう、キミのことだから」

  昼休みと帰りの電車の中と寝る前だから、それくらいやっているかもしれん。休日はもっとやっているかも・・・。

「で、今TOEICか何か勉強しているって言ってなかったっけ」

  ・・・やってるね。

「そして、昨年度も目標点を達成することはできなかった」

  ・・・。

「そもそも、今のキミに暇な時間なんてあるのかい?するべきことがあるんじゃないのか。暇つぶしができる状態が僕には不可解だ」

  はい・・・。

「去年の試験受験料と会場への交通費、スクールの受講料金・・・一体いくらかかったよ」

  正確にはわかりませんが、きっとトータルで5~6万はいってると思います。(←なぜか敬語)

「それが、キミが無料ゲームに支払った時間対価だよ」



今思えば、スマホで遊んでなくても(逆も然り)試験結果が不変だったらその式は成り立たないのだけれど、その場では言い返すことができず、ひたすら己の反省タイムとなってしまった。そして、上から目線の彼(同い年です)の説教は、更に続いた。


「僕はデジタルゲームで遊ぶこと自体が無駄な行為だとは思っていない。それが趣味で、心から楽しくて遊ぶのであればそれは有意義な時間だ。特に、最新のハードで発売されるソフトは1本開発するのに多くの人間の手間と莫大な時間とお金がかかっている。グラフィックスから音楽、シナリオ、システム…多くのクリエイターやライターたちの努力の結集であって、それには感動すら覚えるよ。一流シェフの作る料理を味わうが如くだ。でもスマホの無料ゲームは違うと思う。あれは如何に課金させるかに頭を使っているのであって、ソフトそのものの面白さなんて一般ゲームと比べたら無に等しいんだ。言って見れば「時間の浪費」だよ。そもそもスマホの課金ゲームって、もともとお金のない人から毟り取って成功しているような下流ビジネスであって・・・」


昔から口の立つ彼の説教は延々と続いた。(おわり)


<最近読んだ本>
悪の出世学 ヒトラー・スターリン・毛沢東 (幻冬舎新書)
日経新聞の広告で見て興味が湧き、ネットで購入。残念ながら評判以上に面白くはなかった。もう少し世界史の知識があれば違ったのだろうけれど、大学受験が日本史だった僕にはサブキャラの名前を把握するだけで終わってしまった。

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2014年4月17日木曜日

招集通知の作成

株式担当者の一大イベントが「招集通知の作成」である。作成にあたって初級者~中級者は、以下の書籍を購入しておくことをお勧めしたい。招集通知の作成には証券代行や印刷会社、株懇の資料だけで十分だと思うかもしれないが、法令と関係のない部分(結構ある)で迷ったとき、他社事例を分類別にさっと見れる本書は、かなりの時間節約になるのだ。





もうほとんどの会社の株主総会担当者は招集通知作成をスタートしており、3週間前発送の会社などは初校の校了が終わっているような時期かもしれない。そんな時期ではあるものの、招集通知作成のセミナーに昨日参加してきたので、ポイントだと思った点をまとめておきたい。


招集通知への受付開始時刻の記載
株主総会受付開始時刻を招集通知に記載する会社が増加傾向にある。記載しておけば、非常に早い時間帯(まだ受付等の設営中)に来場した株主がいた場合、入場を待機してもらう口実になる。

株主総会の会場を変更した場合の留意点
過去に開催した株主総会のいずれの場所とも著しく離れた場所であるときは、その場所を決定した理由を狭義の招集通知に記載すると定められている(会社法施行規則63条)。「著しく離れた場所」とは、過去に株主総会が開催された場所からの移動に相当な時間を要し、株主が株主総会の開始時間に出席することが困難となるような場所と解されている。よって、隣のビルに変更した場合などは「理由」を記載する必要はないが、近場であったとしても開催場所が異なる場合はその旨を注記するのが一般的であり、その記載は行うべきである。

議決権行使書等の返送率を高める方策
現時点から対応できる方策としては「招集通知の封筒に(返送に関する)お願い文書を記載」する方法が考えられる。大株主に限定した電話でのお願いも有効な手段である。
なお、個人株主の動向として、議決権行使書を返送する人は即日返送し、即日対応しない人は基本的に返送しない傾向が見られる。よって、葉書等による後日依頼は効果がそれほど高くないと言われている。

社外取締役の選任議案
今年の株主総会での目玉は社外取締役の選任であると思われる(多くの会社が導入に踏み切り、「社外取締役導入元年」になることは間違いない)。招集通知記載における留意点は色々あるものの、抜けがちになる事項は、参考書類に「責任限定契約の内容の概要」を記載する必要があることだ(会社法施行規則74条4項8号)。当該事項は、選任時締結している場合だけではなく、締結する予定があるときにも記載しなければならない。
なお、取締役の報酬等に関する議案(同82条)は、社外取締役に関するものは、社外取締役以外の取締役と区別して記載しなければならないと定められているものの、過去に決定した取締役の報酬額の枠内に収まるのであれば、社外取締役を選任する場合も新たに役員報酬議案を上程する必要はない。

お土産情報の記載
お土産に関して「持参した議決権行使書の枚数に係らず、出席株主1名あたり1個」である旨を招集通知に記載する会社が増加傾向にある。但し、当該記載によりお土産の配布が株主に周知されることになり、結果的に来場者が増加してお土産の削減にはならなかった事例もあるので注意が必要。

インターネット開示によるみなし提供書類
参考書類等の一部をインターネットによるみなし提供をしている場合、総会当日はみなし部分のみ配布している会社が最多であるものの、みなし提供部分に関して株主から何か聞かれたという事例はほとんど聞かない。希望があった株主にのみ提供している会社もあるが、その場合は、他の株主からは見えないところで渡すなどの配慮が必要となるであろう。


※以下は招集通知や株主総会とは直接関係がないが、株式担当者としては押さえておきたいトピックスなので記す。


大量保有報告制度の見直し
平成26年3月14日、「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」が国会に提出された()。この中で、大量保有報告制度の見直しが行われており、上場企業にとって特に影響がありそうな項目は以下の2点。
①大量保有報告制度の適用対象から自己株式が除外される。②発行体企業への通知が不要となる。
①は自己株式を一定量以上保有している会社にとっては事務手続き省略のメリットとなる一方、②は発行会社にとってデメリットであり、会社の担当者は毎日webで大量保有報告が提出されていないかチェックを行う必要が生じることとなる。

ぜんぶ見せます!株主総会のお土産特集
東洋経済が運営するwebサイト「会社四季報ONLINE」の「ぜんぶ見せます!株主総会のお土産特集」というコーナーで上場会社の株主総会のお土産が公開されている(誰でも閲覧可能)。約1700社のお土産が掲載されており、今後、このサイトを見た株主から他社とお土産内容と比較されたり、株主総会へ参加しない株主からのお土産送付請求の増加が予想される。



個人的には、最後の東洋経済の特集がイラッときた。半年に1回くらい記者が取材にやってくるので、今度来たら文句を言ってやろうと思ったが、言えるわけないね!

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2014年4月2日水曜日

インサイダー取引防止規程の改訂

今年の4月1日から新たなインサイダー取引規制が施行され、これに対応して、上場会社は自社のインサイダー取引に関する規程を見直すかどうか対応を迫られることとなった。

今回の改正のポイントは「情報伝達行為」と「取引推奨行為」が新たに規制された点だ。「情報伝達行為」の禁止は一般的なインサイダー取引防止規程には織り込み済であるものの、「取引推奨行為」の方をどうやって対応するか、つい最近まで悩んでいたのだが、先日参加した東証主催のセミナーで規程文案が紹介されていたので、参考までにここで紹介しておきたい。


(取引推奨行為の禁止)
役職員は、当社の重要事実を知った場合、他人に対し、当該重要事実が公表される前に当社株式の売買をさせることにより、当該他人に利益を得させ、または当該他人に損失の発生を回避させる目的をもって、当該売買をすることを勧めてはならない。


「役職員」などの用語定義は会社によって異なるので、その辺りは微調整が必要だと思われるが、さすが気鋭の弁護士が作成しただけのことはあり、そのまま使うことが可能な規程文章である。更に本セミナーでは規程改訂の稟申をする際の理由文章案まで書いてくれてあり、上記規程文例と稟申案だけでこのセミナーの元は十分取れた。(ここまで親切なセミナーは初めて)


<稟申事由>
 いわゆる公募増資インサイダー問題に端を発する平成25年改正金商法が平成26年4月1日より施行される。改正法においては、上場会社等の未公表の重要事実の情報伝達・取引推奨行為に係る規制が導入され、規制違反行為は刑事罰及び課徴金納付命令の対象となる。当社の「インサイダー取引防止規程」において、当社の役職員による業務上必要のない「情報伝達行為」は既に規制しているが、「取引推奨行為」については明示的に規制していない。そこで、「取引推奨行為」についても明示的に規制すべく、「インサイダー取引防止規程」を改訂したい。

ほとんどの会社は既に何らかの改訂を行っていると思うが、もしまだ何もしていない人がいれば参考にしていただけると幸いである。

なお、今回の法改正では、これらの他、上場投資法人等の発行する投資証券等の取引へのインサイダー取引規制導入や上場投資法人等に関する重要事実の新規追加も行われているが、これらは金融機関を除けばほとんどの会社は対応不要であると思う。

また、東証では「内部者取引防止規程事例集」を一般に公開()しており、今回の改訂を行う際は本書を参考に他の文言等も一緒に見直してみるのも良いかもしれない。


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