2014年4月17日木曜日

招集通知の作成

株式担当者の一大イベントが「招集通知の作成」である。作成にあたって初級者~中級者は、以下の書籍を購入しておくことをお勧めしたい。招集通知の作成には証券代行や印刷会社、株懇の資料だけで十分だと思うかもしれないが、法令と関係のない部分(結構ある)で迷ったとき、他社事例を分類別にさっと見れる本書は、かなりの時間節約になるのだ。





もうほとんどの会社の株主総会担当者は招集通知作成をスタートしており、3週間前発送の会社などは初校の校了が終わっているような時期かもしれない。そんな時期ではあるものの、招集通知作成のセミナーに昨日参加してきたので、ポイントだと思った点をまとめておきたい。


招集通知への受付開始時刻の記載
株主総会受付開始時刻を招集通知に記載する会社が増加傾向にある。記載しておけば、非常に早い時間帯(まだ受付等の設営中)に来場した株主がいた場合、入場を待機してもらう口実になる。

株主総会の会場を変更した場合の留意点
過去に開催した株主総会のいずれの場所とも著しく離れた場所であるときは、その場所を決定した理由を狭義の招集通知に記載すると定められている(会社法施行規則63条)。「著しく離れた場所」とは、過去に株主総会が開催された場所からの移動に相当な時間を要し、株主が株主総会の開始時間に出席することが困難となるような場所と解されている。よって、隣のビルに変更した場合などは「理由」を記載する必要はないが、近場であったとしても開催場所が異なる場合はその旨を注記するのが一般的であり、その記載は行うべきである。

議決権行使書等の返送率を高める方策
現時点から対応できる方策としては「招集通知の封筒に(返送に関する)お願い文書を記載」する方法が考えられる。大株主に限定した電話でのお願いも有効な手段である。
なお、個人株主の動向として、議決権行使書を返送する人は即日返送し、即日対応しない人は基本的に返送しない傾向が見られる。よって、葉書等による後日依頼は効果がそれほど高くないと言われている。

社外取締役の選任議案
今年の株主総会での目玉は社外取締役の選任であると思われる(多くの会社が導入に踏み切り、「社外取締役導入元年」になることは間違いない)。招集通知記載における留意点は色々あるものの、抜けがちになる事項は、参考書類に「責任限定契約の内容の概要」を記載する必要があることだ(会社法施行規則74条4項8号)。当該事項は、選任時締結している場合だけではなく、締結する予定があるときにも記載しなければならない。
なお、取締役の報酬等に関する議案(同82条)は、社外取締役に関するものは、社外取締役以外の取締役と区別して記載しなければならないと定められているものの、過去に決定した取締役の報酬額の枠内に収まるのであれば、社外取締役を選任する場合も新たに役員報酬議案を上程する必要はない。

お土産情報の記載
お土産に関して「持参した議決権行使書の枚数に係らず、出席株主1名あたり1個」である旨を招集通知に記載する会社が増加傾向にある。但し、当該記載によりお土産の配布が株主に周知されることになり、結果的に来場者が増加してお土産の削減にはならなかった事例もあるので注意が必要。

インターネット開示によるみなし提供書類
参考書類等の一部をインターネットによるみなし提供をしている場合、総会当日はみなし部分のみ配布している会社が最多であるものの、みなし提供部分に関して株主から何か聞かれたという事例はほとんど聞かない。希望があった株主にのみ提供している会社もあるが、その場合は、他の株主からは見えないところで渡すなどの配慮が必要となるであろう。


※以下は招集通知や株主総会とは直接関係がないが、株式担当者としては押さえておきたいトピックスなので記す。


大量保有報告制度の見直し
平成26年3月14日、「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」が国会に提出された()。この中で、大量保有報告制度の見直しが行われており、上場企業にとって特に影響がありそうな項目は以下の2点。
①大量保有報告制度の適用対象から自己株式が除外される。②発行体企業への通知が不要となる。
①は自己株式を一定量以上保有している会社にとっては事務手続き省略のメリットとなる一方、②は発行会社にとってデメリットであり、会社の担当者は毎日webで大量保有報告が提出されていないかチェックを行う必要が生じることとなる。

ぜんぶ見せます!株主総会のお土産特集
東洋経済が運営するwebサイト「会社四季報ONLINE」の「ぜんぶ見せます!株主総会のお土産特集」というコーナーで上場会社の株主総会のお土産が公開されている(誰でも閲覧可能)。約1700社のお土産が掲載されており、今後、このサイトを見た株主から他社とお土産内容と比較されたり、株主総会へ参加しない株主からのお土産送付請求の増加が予想される。



個人的には、最後の東洋経済の特集がイラッときた。半年に1回くらい記者が取材にやってくるので、今度来たら文句を言ってやろうと思ったが、言えるわけないね!

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