2012年5月13日日曜日

少数株主権と株主提案権

先週末、久しぶりに株式関係のセミナーに参加してきた。
今の僕には必要のない内容だったが教養として概要をメモ。


・少数株主権とは「一定の割合または一定の数の議決権を有する株主」または「発行済株式数の一定の割合を有する株主」のみに認められる株主権で「一定以上の保有期間」を要するものである。少数株主の利益保護を目的とした共益権(株主の経営参与、または取締役等の行為の監督是正をする権利)の一つであり、株主はこれを単独で行使する他、複数の株主と共同して少数株主権を行使することが可能だ。

・株主提案権としての主な少数株主権としては、議題提案権(会社法303条)や議案通知請求権(同305条)があり、この権利の要件は「総株主の議決権の1%以上または300個以上の議決権」を「6ヶ月以上」の期間保有していること。上場会社の発行済み株式の1%を買い占めることのできる株主は稀であるため、上場会社の株式担当者であれば1%の要件より「300個」の要件を意識しておきたい。
なお、少数株主権ではなく単独株主権として、一般的に「修正動議」と呼ばれる株主提案権(議案提案権)も存在する。株主は、株主総会場において、株主総会の目的事項について議案を提出することが可能(同304条)。

・会社法上、株主提案権(ここでは議題提案権と議案通知請求権のこととする)の提案方法には書面性は求められていないが、定款授権により定められた株主取扱規則で書面性を規定することは可能である。一方、権利行使については、定款の議決権行使の代理人規定に拘束されないため、例えば海外投資ファンドの代理人として日本の弁護士が行使しても何ら問題はない。
保有期間である6ヶ月を算定する終点については、いくつか説があるが「提案権の行使日と株主総会の基準日のいずれか遅い日とする」説が実務的とされている。

・また、会社法では株主提案に係る文字数に制限はないが、株式取扱規程で「適切でない分量」を規定することは可能。上場会社における実務対応では、議案の内容や文字数によりケースバイケースの対応を取っている様子である。
議決権行使書面には、賛否の記載がない場合、その取扱いの内容を記載する必要があるが、会社提案には「賛」、株主提案には「否」の表示と取り扱うとするのが通例となっている。また、この取扱いが違法ではないとの判例(札幌高裁判決平成9年1月26日)もある。