2010年3月7日日曜日

株主代表訴訟制度の経緯と問題点

実務家の視点から見た株主代表訴訟制度の問題点の解説を受けてきたので以下にメモ。

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株主代表訴訟とは株主が会社を代表して会社役員に訴訟を起こす制度である。

日本の株主代表訴訟制度は、戦後アメリカの制度をモデルが導入されたが、訴訟手数料が訴額に応じた負担(高額)であったため、ほとんど利用されていなかった。そこで、平成5年の商法改正で、提訴手数料を一律8,200円(現在は13,000円)とした結果、提訴件数の急増と提訴請求金額の高額化という現象が生じ、個人的な満足を得る目的等、本来の趣旨から逸脱した不当な訴訟が多く提起されるようになった。

提訴手数料の一律低減化により株主代表訴訟を活性化するという効果はあったものの、明らかに不当と思われる訴訟を防止するための原告適格を厳正化する対応を同時に実施しなかったという点に問題を残す結果となった。

また、株主代表訴訟の判決の効力が間接当事者である会社や一般株主に及ぶにもかかわらず、会社や一般株主の主張や意見を反映したり、一般株主を適切に代表した株主権の行使を保障した制度とも言い難いといった問題がある。

平成17年の会社法の改正においては、却下制度(会社法847条1項但し書)や不提訴理由書制度(同条4項)などの規定が導入された。しかし、却下制度は対象範囲が限定されていることに加えて、立証が困難であるという問題がある。不提訴理由制度は不提訴理由書が株主代表訴訟において如何なる効果を持つかが必ずしも明確ではなく、不提訴の判断を説明するという目的を超えて安易に開示を行うと、かえって会社に不利益をもたらす危険性もあることから、不提訴理由書の開示の範囲について実務的には簡素な記載に止まっている。

直近の判例の特徴は、まず最高裁等で高額の損害賠償(蛇の目ミシン事件583億円)が認容されてきていること。また、内部統制システムの整備義務(会社法)から、責任の認容対象者が拡大されてきており、取締役の責任が認められやすくなっている。訴訟の中には内部告発型のものが増加(ダスキン事件他)してきており、その場合は様々な社内内部資料が訴訟で使用されている。

株主代表訴訟の理論と制度改正の課題
著者 : 高橋均著
同文館出版
発売日 : 2008-11-01


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