2009年3月4日水曜日

株主名簿と機関投資家の関係について

株主名簿に掲載のない株主から面談のコンタクトがあった
→その株主はカストディアン(信託銀行)の実質株主の可能性がある。


◆カストディアンの実質株主とは

<国内>
株主名簿上に「○○信託銀行株式会社(信託口)」と書かれてある場合、信託銀行は株主名簿上の株主に過ぎず、実質株主は国内機関投資家(国内各信託銀行・投資顧問会社)で、信託銀行に口座を開いて株式を保有している。この実質株主を調べるには国内実質株主調査を実施する以外方法はない。(但し、投資顧問会社の判別は不可能)
代表的な国内機関投資家は企業年金連合会。2007年3月末時点での年金資産時価残高は13兆1943億円。そのうち約1兆円を自分で運用している(インハウス運用)。しかし、残りの外部委託先にも議決権行使のガイドラインを守らせているため、議決権行使の影響力は大きい。

<海外>
株主名簿上は「クレディエットバンク834683」等。実質株主は年金基金(ハーミーズ、カルパース等)や投資顧問、ヘッジファンドであり、これらを調査するには外国人実質株主判明調査をしなければならない。
海外の機関投資家の議決権行使にはISSの影響力が圧倒的であり、「ISSの反対」=「海外機関投資家の反対」という式が成り立つ。但し、ISSのガイドラインは甘いとの投資家からのプレッシャーがあり、また今年度の買収防衛策に関してはISSの賛成した3社にも機関投資家は反対行使をしたことなどから、今年は更に議決権行使の賛成基準が厳しくなると予想される。

◆その他

・カストディアンを使っていた実質株主が、名義書換をして突然株主名簿に現れることがある。この場合、存在を会社にアピールする目的や、株主総会への出席、株主提案権の行使等のアクションが予想される。
・東証プラットフォームを利用している会社によると、集計が早くなった以外、現時点であまりメリットは感じられないとのこと。
・外国人実質株主判明調査は外国人持株比率が20%を超えた辺りから採用する企業が多い。
・議決権行使率は機関投資家の国別によって異なる。アメリカ70%、イギリス30%、アジア10%程度。オイルマネー(中東の政府系ファンド)やヘッジファンドの大半は議決権を行使しない。

参考:カストディアン

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